ワークショップ型授業のすすめ
1980年代の授業研究では、「追試」ということが大きな話題になった。追試とは何か。広辞苑には次のように書いてある。(1)人の実験したことを、あとからその通りに試みて確かめること。(2)追試験の略。授業研究でいう追試は(1)に近い。
授業研究の世界で、この「追試」という概念を大々的に提起したのは、教育技術の法則化運動を立ち上げた向山洋一氏だった。向山氏は追試には次のレベルがあるという。。
● 追試実践…先行実践をその通りやってみた実践。
● 修正追試…先行実践の発問・指示などを前もって十分に検討して修正を加えてから行う追試。
● 構想追試…先行実践・先行研究を参考にして、主として「発問」「指示」は自分で考えて行う追試。参考とは、先行実践・研究をヒントにしたという程度のこと。数字で示すと5%から10%程度、ヒントになったというもの。
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こうした「追試」のよさは2つある。1つはすぐれた実践をそのままやってみることによって、すぐれた実践のもっている技術やその奥にある思想を学ぶことだ。もう1つは、別の教材や別の場面で、身につけた技術を使うことで、構想追試のようなオリジナル実践ができるようになる点だ。
つまり上達論を意識した仕事ができるようになることだ。
こうした修行の方法は教育界に限らない。たとえば、お笑い芸人などがネタを創り出すとき、追試とよく似た行為が行われる。若手芸人が先輩芸人の芸を舞台の袖などからよく見て、それを真似する「盗む(追試)」という行為である。夫婦漫才で有名な宮川大助・花子の漫才は、先輩である「やすし・きよし」の漫才を徹底して真似するところから生まれた。言うまでもなく「花子=やすし」である。こうした「盗む(追試)」行為によって、芸人たちは、舞台での「引き出し」の数を広げ、自分自身の芸を確立していく。
参加・体験を中心とするワークショップ型授業でも、そうした意味での「引き出し」を広げることが大切である。書籍・雑誌に書かれたマニュアル情報だけではなく、ビデオによる情報や各種ワークショップにおける体験情報が大事である。従来の日本の教育界では、授業研究を講義・文章などの文字情報に頼って行っていた。しかし新しいタイプの授業であるワークショップ型授業では、ビデオ情報や直接体験による学びがより重要になる。
体を使った学びが、授業の「引き出し」を広げてくれるからだ。その「引き出し」の数が、より豊かなワークショップ型授業をつくり出す。たとえば、子どもたちは活動の中で自らの試行錯誤をパタッと止める瞬間がある。そのときの教師の対応こそワークショップ型授業の醍醐味である。展開の仕方は1つではない。「引き出し」は多いほどよい。
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