作文ABC
「今どきの若者は手紙の書き方も知らなくて困る!」学生のころに読んだエッセイの中にそんな怒りの言葉が書かれていた。
最近これとよく似た話を耳にする。もちろん郵便手紙ではなく、電子メールについての話である。学生時代には、これだけ電話が普及したのだから、これからは手紙など書くことは少ないだろう考えた。学生時代には手紙らしい手紙を書いた記憶がない。
しかしインターネット時代の今、電子メールが使えないのはいかにも不便である。メーリングリストを使って作文勉強会などをやっているので、おおい日には50〜60通の電子メールを普通に読んだり書いたりしている。自分でも驚いてしまう。
またホームページ上に、自分のアドレスを公開しているので、高校生・大学生から電子メールをもらうこともある。たしかに彼らのメールは少しぶっきらぼうではある。
ただし、わたし自身が電子メール(手紙)が下手なのであまり怒れない。どうも電子メールには「無礼助長」装置がついているようである。トーマス・マンデルほか著『インターネットの戒律』(アスキー出版)に次の警句があった。
【電子メールは簡単に誤解される】
そのカジュアルな性質上、電子メールでは中途半端な質問やせっかちな答えや軽率な返事をしがちだ。電子メールはタイプをしなければならないため、タイプの苦手な人々は実際に必要であるよりも少ない言葉を使うことがよくある。タイプのうまい人々は逆に言葉を使いすぎる。どちらの場合も送る前にタイプしたものを読まない傾向がある。 |
さすがに戒律の本だけあって、耳の痛いことが書いてある。しかも、その理由まで、実に的確である。わたしはパソコンのタイプ打ちはある程度できるようになったが、時々、携帯メールを使う。親指でボタンを押すので、すごく省略をした言い方になることがある。また、ボタンを押す指が痛くなって、つい文章を読み返さずに送信してしまう。
戒律文を読んで、改めて「電子メールは必ず読み返そう」と決意した。
ところで、先日、ある大学の教育学部の学生から電子メールをもらった。その電子メールがじつにそつなくていねいに書かれていてうれしくなった。「いつもお世話になっております。○○大学教育学部の××です」からはじまって、端的に要件を述べた後、最後を、「どうぞよろしくお願いいたします」と結んである。小さくホウっとつぶやいた。
思い出してみると、学生からのメールは結構キチンとしたものが少なくない。
自分の学生時代と比べて、今どきの若者のメールは上手かもしれない。
次回予告
1年間「作文ABC」を連載されてきた上條先生がお送りする第3弾!上條先生が代表する「授業づくりネットワーク」が毎月行っているワークショップ型の教育研修の中から、「お笑いに学ぶ教育技術」「秘伝!レクリエーションゲーム」「社会科学習ゲームゲーム」「論理を鍛える国語学習ゲーム」などユニークなワークショップのようすを紹介しつつ、そこで蓄積された知見をコラムの形にしてお届けします。ご期待ください。
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