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ワークショップ型授業のすすめ

説明責任

第11回 2004.2

 従来型の授業にたいして「ワークショップ型」の授業は新しい。

 新しい授業を、よりよく授業するためには、子どもたちや保護者に授業方法についてのできる限りの共通理解を得る必要がある。いわゆる「説明責任」の必要がある。

 たとえば、ワークショップ型授業の典型の一つである「ゲーム」は「ドリル」と活動の形態が似ているために授業運営法がよく勘違いされる。たとえば、通信教育会社のTVコマーシャルに、「日本とイギリスの計算問題の違い」という話が出てくる。

 

  

同じ算数の計算問題でも日本とイギリスでは形が違っている。

  • 日本の一般的な計算問題
    2+3=□ 4+2=□ 3+4=□
     
  • 英国の一般的な計算問題
    □+□=5 □+□=6 □+□=7
     

 

日本の問題は答えが一つに決まっている。一方のイギリスの問題は、答えが複数でパズルのようである。おもしろい。
(*この問題づくりの差は、日本とイギリスの算数・数学教育に関する考え方の違いからきている)

 



 「ゲーム」の活動では、教師は、あれこれ、理屈を言わず、まずはゲームをさせるところから始める。ゲーム活動をさせる中で、気づいたり考えたりしたことを「ふり返り」の手法によって、内省させる。これが体験学習としての学習ゲームの考えである。

 

「ドリル」の活動では、まず最初に、教師が、作業に必要な「コツ」を伝授する。学習者は、その教師の示した「コツ」の範囲内で作業をする。作業内容をくり返すという点はよく似ているが、学習に対する考え方は全くといってよいほど異なっている。

 

 たとえば、前述の「□+□=5」の問題も、ドリルの発想で実施すると、「最初の□には何が入るか? 1の場合は後ろはいくつになる? 2の場合は後ろはいくつになる? 3の・・・」と最初にコツを教えてしまう。せっかくのパズルも台無しである。

 

 端的に言って、面白さは半減する。教師が提示した標準的な「コツ」以外の方法が(制度的に)制限されるので、問題を考えることが行われなくなるからである。

 

 これが「ゲーム」の発想では、まず「□+□=5」を試行錯誤的にやらせみる。やらせてみて、どうやってその答えになったか。思考の筋道をふり返ることで、様々な考え方を知る。このとき、前述の教師が提示したようなコツが出る場合もあるし、それ以外の、もっと効率の悪い、しかし、その子が自分の頭で考えたコツが提出されることもある。

 

 この「ゲーム」発想こそ、ワークショップよる「考える算数」の実現になる。




過去の記事

■上條晴夫
教育ライター
埼玉大学非常勤講師
山梨大学教育学部卒業。小学校教員生活を経て現職。教育研究団体「授業づくりネットワーク」代表。
著書に 「さんま大先生に学ぶ 子どもは笑わせるに限る」(フジテレビ出版)「子どもが熱中する作文指導20のネタ」(学事出版)など多数。
www.hanamaruworld.com