企業とつくる食育 〜授業づくりの現場から
第10回
ダイエット食品広告を分析する授業へ |
千葉大学教育学部准教授
藤川大祐
(NPO法人企業教育研究会
理事長)
NO.29 2008.2
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先日、私が理事長をつとめる日本メディアリテラシー教育推進機構
(JMEC)に、厚生労働省の方をお招きして、食品の誇大広告に関す
るお話をうかがった。
厚生労働省では、健康増進法にもとづいて、いわゆる健康食品の広告の誇
大表示を修正させる取り組みをしている。健康増進法というと受動喫煙防止
に関する内容が知られているが、食品の広告についても定められている。ダ
イエットに関する食品や癌の治癒に関する食品について、不当に健康によい
ことを示す表示がなされていないかが問題とされる。具体的な事例を多く紹
介していただき、いわゆる健康食品について誇大広告が大変多いことを知る
ことができた。
いわゆる健康食品への関心は、一般的に非常に高い。癌などの深刻な病気
に直面した人が、「癌に効く」とされる食品に、わらにもすがる思いで頼る
気持ちは否定されるべきではないだろう。しかし、そうした人の気持ちに乗
じて、効くということが十分に証明されていない食品を高額で売って利益を
上げる業者は非難されるべきだ。ダイエットに関しても高額な食品を誇大広
告によって売ろうとする業者は問題であるし、生活習慣の改善なしに痩せよ
うとする側にも問題がある。
中学校や高校では、ダイエット関連食品の広告を分析する授業を体育あるい
は家庭科で取り入れてほしいと思う。私自身も、試みに大学の授業「メディア
リテラシー教育」の中で、インターネット上で公開されているダイエット関連
食品の紹介番組(動画)を分析させる模擬授業を行った。手順はいたって単純
で、「これから見る番組を批判的に見て、おかしいと思う箇所をすべて書き出
しなさい」と指示し、番組を見せ、発表させて深めるというものである。
批判的に見るというかまえがあったためか、学生たちは多くの点に気付き、
発表した。
たとえば、
●広告の中であるタレントがこの食品を食べて、3ヶ月で11kg痩せたという
ことが紹介されているのだが、動画に出てくる本人は、「○○を食べなが
ら痩せました」という言い方をする。「○○」という食品を食べたことに
よって痩せたとは決して言わず、食べたことと痩せたこととの間に因果関
係がないという逃げ道を用意しているようなのだ。
また、
●100万人が愛用していると言いつつ、これまでの売り上げは300万個とさ
れていて、愛用者が最大でも平均3個(3食なのか3箱なのかも不明)しか
買っていないことになるという不思議な数字があることもわかった。
学生たちには毎回感想を書かせているが、この回の感想はいつになる多く
書かれていた。学生たちがダイエット関連食品に強い関心をもっていること
が、よくわかる。目立ったのは、批判的に見ようとすればおかしな点に気付
くが、家で何気なく見ていたらついついほしくなってしまうだろうという感
想だ。
ダイエット関連食品を売る企業が、誇大広告で消費者を騙すようなことをす
ることは許されない。食品企業には、正々堂々と食育に貢献できるようなモラ
ルをもってもらわなければ困るのである。
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