はなまるworldでは教育現場で役立つコンテンツを掲載しております。
無料ですのでどうぞお気軽にご登録下さい。
パスワード確認
登録内容の変更
よくあるご質問
お問い合わせ
サイトマップ
 

ワールドウォッチング

国際交流のハードルを越えて

”make a difference"

〜国際教育機関iEARNの取り組み〜

JEARN理事長 高木洋子
 第1回2004.4

高木洋子

JEARN理事長 iEARN日本代表

JEARNー特別非営利活動法人 グローバルプロジェクト推進機構

http://www.jearn.jp/japan/

 

中国東北部(旧満州)撫順に生まれる。

30歳を過ぎ始めた英語学習をきっかけに国際交流に関心を持つ。iEARNの活動を知り、1998年にiEARN Japanを設立。現在、JEARNとして日本で初めての本格的な国際交流プロジェクトを推進するNPO法人となり数々の支援活動に取り組む。

 

◆世界100カ国が参加する最大規模の教育ネットワーク、iEARNについて教えてください。

 

1980年代にアメリカと旧ソ連の冷戦時代がありました。そのとき、子どもたちに「戦争で傷つけあうことのないようお互いの国について理解を深めてほしい」という平和への願いから、両国の高校をつないだオンライン交流を試み、大成功に終わりました。そしてこのConnecting Youth..Making a Difference in the World(子どもたちの絆が世界を変える)という願いに賛同した世界各国の教育者が集まり、1988年iEARNが発足したのです。現在では世界100カ国、7000以上の学校、75万人の子どもたち参加しています。

 

◆高木さんは、いつiEARNと知り合ったのですか。

 

はい、もともと国際交流に興味を持ったのは、30歳を過ぎて始めた英会話学習がきっかけでした。その後50歳を過ぎてハワイへ留学しまして、そこで遠隔地教育に出会いました。その頃はテレビ会議交流であるテレクラスの組織に携わりまして、帰国後「テレクラスインターナショナルジャパン」という日本支部を立ち上げました。その活動の中でiEARNの世界を知り、これはいい!と。

 

◆なぜiEARNだったのですか。

 

テレクラスでは、交流する相手国や相手校を探すのが大変でした。ところが、iEARNにはこんなに多くの国と小中高校、大学の先生が目の前にいる!しかも、そのビジョンがいい。それで、以後この道一筋になりました。


◆日本にも拠点を作ろうと思ったのはどんなきっかけがあったのですか。

 

iEARNでは年に1度世界各国から人々が集まって国際会議が開かれています。
第3回iEARN国際会議ブタペスト(ハンガリー)開催に初めて一人で参加しました。その後1998年に日本で国際シンポジウムを企画し、iEARNエグゼクティブディレクターのエドウィン・グラガード博士を招きました。同時にiEARN講習会も開催、参加者と彼とでiEARN Japanを設立しました。

 

◆iEARNが発足してちょうど10年後ですね。その頃は日本の学校のIT環境や学習体勢が発展途上だったと思いますが。

 

そうですね。学校も今ほど開かれた場ではありませんでしたから、民間の団体が授業や学校に入る余地がありませんでした受験至上主義時代の流れも強く、理解していただけないこともありました。 それに私たちも財政的に厳しい状況でした。それは今もあまり変わらないかな(笑)

 

◆そのような逆境でも頑張ってこられたパワーの源はなんでしたか。

 

英語による人との出会いやiEARNの各国の先生と仕事する楽しさ、それに新しいものつくりにチャレンジするということ。何よりテレクラスやiEARNを好きになっていく人が増えていく楽しみでしょうか。紹介したiEARNの世界で子どもたちや先生たちが生き生きと楽しんでいるのを見ると、やっていてよかったなあと実感します。iEARNは子どもたちの活動に平和を託すことができる場です。テロや殺戮が行われてしまう時代に教育を通して平和への希望を未来の大人たちに託す場なのです。

 

◆昨年はiEARNの国際会議が日本で開催されました。

 

2000年の北京大会に日本から10名を越える参加者があり、国際会議の様子が日報で配信されました。

この参加者たちの感動がその後の日本の展開の原動力となり、夢から現実のものへと変わっていきました。昨年7月淡路で開催されましたが、直前のSARS問題があったにもかかわらず日本を含めて56カ国、1000人以上が集まり、交流実践の報告や新しいプロジェクトについて話し合いをしました。大人だけでなく、ユースサミットといって、子供同士が交流する場を持ち、環境問題や各国の遊びの紹介をして交流を深めました。

 

◆開会式の様子を見せていただきましたが、フレンドリーな会場の様子が本当に楽しそうだなと思いました。

 

共通言語は英語ですが、他の国際会議と一味違うところは非英語圏の国からの参加も多く、日本人でも知っている英語をつなげてコミュニケーションをとる事ができます。出会った瞬間から旧知の友達のように交流できる大会なのです。

 

◆実際どのような流れで活動されているのですか。

 

iEARNの年度は10月が始まりです。そのために7月に検討事項を討議したり新年度の方針を決定したりします。そして、国際会議で全体会議とともに各プロジェクトの実践報告や新プロジェクトの提案が出されます。9月には新年度の新プロジェクトを決定し冊子やPDFで世界各国に発信します。プロジェクトは世界各国から立ち上がり、開始時期や年度始めの月はそれぞれの国で違います。でも、新プロジェクトが集まる10月から開始する場合が多いです。また、いま行われているプロジェクトに参加したいという希望もコーディネートしています。

 

◆「プロジェクト」という言葉が出てきましたが。

 

iEARNの国際交流は、インターネットが主な交流媒体です。この素晴らしい機能はただ調べ学習やメール交換だけで終えがちです。また、国内との交流だけに使うだけではインターネットを活用しているとは言い難い。ですが、いざ国際交流をしようとしても先生方は交流相手をどう見つけてどのように世界の子どもたちと学習していけるのか悩まれるところだと思います。iEARNは、共通の学習課題を持たせることで認識を一つにし、世界の子どもたちが同じテーマで活動することが、単なる交流に終わらずお互いを理解しあえる学習につながると考えています。現在、150以上のプロジェクトがありますが、そのなかから自分たちがしたい交流に合ったプロジェクトに参加します。交流のノウハウや自分たちで解決できない問題が起こってもJEARNと相手国のコーディネーターが連絡を取り合い解決しますので、無理なく国際交流を始められます。

 

◆たとえば、どのようなプロジェクトがあるのですか。

 

日本でいちばん人気のあるプロジェクトが「テディベア・プロジェクト」です。これは交流相手校とぬいぐるみを送りあい、それぞれが交換留学生として子どもたちの家にホームステイしたり一緒に授業を受けさせて交流するプロジェクトです。休みの日にもいろいろなところに連れて行ってあげます。それらの様子をデジカメで写真を撮ったり文章にしたりして日記にして、相手校に知らせます。それは定期的に英訳されメールで送りあいます。そこには本やテレビなどでは紹介されない日常が映り、身近な国際交流ができるのです。

 

◆英訳ができないと参加は難しいですか。

 

参加されている先生の中には、英語が苦手という方も少なくありません。ですが、iEARNの魅力の一つに英語圏ではない国の参加が非常に多いことがあげられます。つまり、私たちのように英語を母国語としない国の人も同じような境遇で参加しているのです。だからお互い不得意でも間違ったりしても気にすることはありません。また、今はインターネットでも無料の翻訳サイトが多数あります。このようなサービスを利用しながら少しずつ慣れていけばいいのです。逆に自分の英語力を鍛えたいという目標をもって参加される先生もいます。生きた英語学習ができますから、子どもたちへの英語学習の動機付けにはぴったりです。


◆日本からはどのくらい参加しているのですか。

 

小学校、中学校、高等学校、大学、養護学校あわせて167校が参加しています。昨年の淡路大会でも高校生が参加し発表しました。

 

◆実際に参加したい、という方はどうすればいいのですか。

 

iEARNの日本センターであるJEARNに会員登録していただきます。それがiEARNへの登録になります。個人でも学校単位でも申し込めます。次に参加したいプロジェクト名を伝え、どういった支援が必要なのかも連絡します。そして、JEARNメンバーのアドバイスや支援を受けてプロジェクトに参加します。いま活動中のプロジェクトには日本から提案されたものもあります。

 

 

◆今の日本の子どもたちを見ていて国際交流への関心など、どう思われますか。

 

日本は単民族で島国ということもあって、学校でも社会でも違いを比較して違いを知る機会がありません。日本の子どもたちは自分たちが恵まれている事実も知らないし、それに気づく機会もありません。だから国際交流についても非常に漠然とした関心しか生まれません。ましてや自分が関わるという意識は、特別な環境におかれるか個人的に人間的な出会いがあった場合以外にはほとんどないと思います。しかし、小学生時代から交流する機会を持てば、誠心誠意関わっていこうとする真摯な気持ちや態度が育つ芽は十分にあります。

 

◆学校では国際交流をどうとらえ,指導していってほしいとお考えですか。

 

先生方には、子どもにやらせるだけでなく自分も相手国・相手校の先生と国際交流を体験し、ともに仕事をし、相手校の子どもたちへも教育的な配慮をしてグローバルエデュケーターの意識を持って活動していただきたいと思います。国際交流や国際協働学習がどう世界の平和に結びつくのかを子どもたちにしっかり伝えてほしい。参加すること、行動することの意味が納得できて、目指すゴールが明確になれば子どもたちの動きは早く世俗的な発想に偏りがちな大人にはまねのできないアイディアを生みます。それをつぶさないように、またできるだけ地域社会へつながる動きになるように相手校との連携を深めていただきたいと思います。


◆家庭ではどうでしょう。

 

学校教育や塾だけが子どもを育てる場ではありません。子どもも育て、ご自身も育ついちばん美しい数年間を月謝を払って他人にまかせきりにしてはもったいない。自宅でインターネットを利用できる方も多いでしょう。英語に躊躇せずご両親と一緒にiEARNプロジェクトに参加することもできます。ともに考え行動できるいい機会にもなると思います。

 

◆今後、どのように活動を広げてこうと考えていらっしゃいますか。

 

ヨーロッパやアフリカの思想とは違う日本的なあるいはアジア的な手段での「make a difference」を見せていきたいと思っています。それにはJEARNプロジェクトのコーディネーターを育成し日本発のプロジェクトを推進させたいです。特に阪神淡路大震災10周年行事の大型プロジェクトを何とか成功させたいと思っています。また、学校への出前事業としてiEARNプロジェクトや国際交流、テレビ会議や英語に関するお手伝いやiEARN普及のための講演会や研修会を積極的に行いたいと思っています。

 

◆学校の先生方にメッセージをお願いします。

 

多くの国の学校の先生と仲良しになってください。そして世界の子どもたちの先生でもあってください。そんな意識を持てる先生であってください。子どもたちと日々笑顔で接する先生同士で手をつないでください。子どもたちは納得すればきっと自分を必要としている世界の子どもたちのために力を出せるだろうと信じています。子どもたちの心には国境も政治の支配もありません。どうぞ、私たちの活動に参加して国際交流を始めてみてください。


 

過去の記事

www.hanamaruworld.com