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カムカムいんたびゅー

「活動」を生かした授業で
子どもの意欲を引き出す

〜グループで養う問題解決力〜【後編】

授業づくりネットワーク代表

上條晴夫先生

 

聞き手 森 達也(教育同人社常務取締役)

 

【前編】はこちら

 

上條晴夫 かみじょうはるお

 

授業づくりネットワーク代表・教育ライター。
作文指導、ディベート指導、学習ゲーム、ワークショップ型授業、エンターテインメント教育学などの実践的な研究を起こなっている。現在は「授業成立の基礎技術」研究に邁進中。主な著書に「見たこと作文でふしぎ発見」(学事出版)「お笑いの世界に学ぶ教師の話術」(たんぽぽ出版)などがある。

 

 

一定の枠の中で自由を保障してやること。そこで問題解決力がつく


 遊びの中に学習目標があればいいんですね。
上條 遊びの中で学習になるものをまずチョイスすることが大事です。そして、活動はグループでする。そのほうがよりよい学習になります。グループでディスカッションさせるんです。そうすると、お互いの学び合いが生まれるようになります。
 それは子どもたちも生き生きするでしょうね。その時、先生はどうするんですか。グループごとに働きかけをするんですか。
上條 ワークショップで大事なのは、5分なら5分という枠を決めて、その中で自由に活動させることです。一定のルールを作り、時間やそのルールの範囲を守っていれば、たとえ子ども達が少し違った結論に達しようとしていても問題ないんです。

 普通だったら、早めに先生が声をかけたりして修正しますよね。
上條 そこには原則があって、「枠を与えたらその枠の中の自由は保障する」ということなんです。ここが大切なんです。自由感のある活動をさせることで、子どもたちが自分達で協同的問題解決をするんです。教師が介入するときは二つ。危険な状態になりそうなときと、枠やルールから逸脱した場合だけです。
 そこで、指導というか教えるといったことをしてははいけないということですね。
上條 そうなんです。そこで教師が鼻面をつかまえて誘導してしまっては、子どもたちにとっては結局引っ張って連れていかれているんじゃないか、ということになるなんです。自由感を感じなられなくなるんです。できるなら30分間ずっと活動させたいですが、それは難しいので、その学年の発達段階にあわせて時間調整してやるんですよ。例えば、はじめは「5分間グループで話し合ってみよう。先生、黙って見ているよ。」と。時間になったら「よくできたね。○○のグループはこんなことを話していたよ。すごいね。」と。そして、「先生、次は8分間話し合ってほしいと思っているんだけど、これ、難しいよ。できるかなあ。」と。子どもたちは「できるさ、そのくらい。」といいますよ。これは、直接ワークショップとは違うんですけど、運用法として教師は時間を区切ることで子どもたちをサポートします。放し飼いにして遊ばせる、というのでは全く違うわけです。
 コミュニケーションスキルも育ちますね。
上條 そうです。大人の社会に出た時、この協同的問題解決力がないとやっていけなくなります。どんな相手とでも、最後まで仕事をやり通すのが知性ある社会人だと思うんです。その力が世界的に21世紀に求められている学力だと思っているんです。今までのステップ式のように教師が1回1回引っ張っていったら、学力はある程度上がっても社会的なスキルは上がりません。自分で問題発見をし、ある学力を得ていくにはどうしたらいいかというと、やっぱりある程度の時間幅を取りながら、この中では間違ってもいいよ、とやるわけですよ。つまり、試行錯誤させるわけです。教師の目から見て、その試行錯誤が少し違ってるなあというのでも、それはOKなんですよ。どうするかというと、活動のあとにふりかえりっていうのを必ずやらせるんです。活動とふりかえり。これでセットです。これが大事です。
 確かにそうですね。なにをもって失敗かということにもなりますしね。
上條 印象的な話があって、小学生のときイギリスのほうにいた学生が、絵を描いたときに失敗し、困って先生のところに行くと、「それは失敗じゃないんだ、これをあなたが見つめることでOKなんだ、それが勉強なんだ」と言われたというんです。ところが、日本に来たらどうだったかというと、同じ状況で先生に言ったら「ああ、かわいそうね、もう一枚紙を上げるから書き直しなさい」と言ったというんですよ。この発想の違いなんですよ。つまり、試行錯誤も勉強なんですよ。失敗も勉強なんですよ。失敗を勉強と認めるかどうかなんですよね。

 

 


発想の転換にはまず先生が参加・体験してみることが大事


 でも、先生方に「教えなくていい」「グループで活動させて失敗を生かせるようにすればいいんだよ」と言っても、すぐに発想の転換をしてできるかといえば難しいんじゃないでしょうか。そうできるようになるためには、どうしたらいいんでしょうね。
上條 それには、先生自身がワークショップを体験すること、それにつきます。僕は大学で学生に教えているんですけど、ある時国語の授業をワークショップ型でやったんです。すると、学生が「楽しい国語ってあるんですね。楽しくても勉強になるんですね」と。授業での国語は、先生の想定している結論に向かって誘導していくことが多いです。物語の感想にしても、A子さんがこう感じたのなら、それは本当は正解の一つとしてありえることなのに、先生の解釈と違ったら、違う意見を求められます。「それもあるね。ほかにもあるかな?そうそう。」というように。全く違う根拠から、あるいは同じ根拠からでも全く違うことを発想する人がいたら、先生がそれを認めるのかどうかということですよ。ここがとても重要だと思います。
 今までの話を聞いただけでも、やっぱり先生に体験とか経験とかがないと、できないですね。
上條 はい。だから私どもの研究会では春と夏にワークショップの集会を開いています。また、その日だけではせいぜいワークショップの入り口くらいなので、隔月で連続ワークショップを活動しています。
 それはいいですね。
上條 ちなみに、先生って参加型の研修ってけっこう嫌がるんですよ。
 どうしてですか。
上條 参加型って、ある程度自分をさらけ出さないとだめなんですよ。学校の先生はそういうのがとても苦手だし嫌がります。でも、そんなことじゃあもうだめだ、と思っている人たちが動き出したんです。昔、ワークショップの取材に来られた人に「ここではわーわーやっているけど、教室に戻ったら実践しないんでしょうね」」と聞かれたんですが、今は違います。複数の調査でわかっていることですが、学級崩壊を防ぐ工夫として、8割の先生が活動型授業を取り入れているそうです。もちろん、今回本にまとめた活動事例を100パーセントやるのではなく、ちょこっと取り入れるだけでもいいんです。こういうネタさえあれば、慣れてきたら短くしたり、時間や導入する時期を変えたりしていろいろ応用できるんです。

 

 

 

すぐに使えるワークショップ型授業プランを本で紹介


 本の話が出たので、このほど新しく出された「子どもの意欲を育てるワークショップ型授業50プラス小ネタ26」についてうかがいますが、これは実際に実践されたものを集めたんですか。
上條 実際やっている授業を挙げてもらうように先生方にお願いしました。
 成果として子どもが変わった、というようなことはあるんですか。
上條 それまで子どもが自分たちの注意を先生に向けて緊張していたのが、教室の雰囲気がなごやかになって、よりリラックスした状態で授業を受けるようになったということが一番大きいです。
 本にはいろいろな教科に渡って事例が出されていますが、教科に制限はないんですか。
上條 もちろん適合的な教科というものはありますね。


 本の後半の小ネタ集は、先ほどお話に出た、ちょっと使うためのヒント集ですか。
上條 ここで取り上げた小ネタは、「体験」と「教材」を合体させたものなんですよ。いま学校では細かな教育技術が伝わりにくくなっているわけですよ。ベテランの先生から若い先生へ、とか。なぜかというと、ベテランの先生のクラスも崩れるから、自信をもって伝えにくくなっている。それに、「背景をかかえる子」が増えてきているなかで、ベテランの先生のそれまでのやり方では通用しなくなってきている。でも、子どもたちがずっと受け入れているものもある。スライム作りなんて典型的なものです。ネタには体験的なもの、話題的なもの、あと小さなトピックのようなものがあります。
 すぐに学校で使えて、しかもちょっとずつ取り入れられるわけですね。これは先生方は、助かりますね。
上條 必ず多くの先生の役に立つと思います。
 今日はありがとうございました。


 

 

 

 

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