カムカムいんたびゅー
親とともに子どもを伸ばす
ML「親力で決まる子どもの将来」発行・小学校教諭
親野 智可等さん
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メールマガジンを始められた動機を教えてください。
目の前の子どもを何とかしようと教育してきたけれども、学校現場でやれる事には限界があるなとつくづく感じていました。今も自分のできる範囲で最善を尽くしていますが、何もかもとなると、なかなか難しいですね。習慣ひとつとっても、次の学年になり、離れると元に戻ってしまったりする。そういった現実問題を考えると、やはりいつも一緒にいて子どもを見ている親の力が大きいと思いました。自分の思いは、学級通信や懇談会で知らせてきたけれども、それらで伝えられるのは、せいぜい40人くらいです。学校全体、学年全体を集めて行う懇談会の参加者は、保護者の方も忙しいということもあり、年々減ってきています。そんなことから、自分の思いをもっと多くの人に伝えたい、何か伝える方法がないかと長年思っていたところに、メールマガジンという配信システムを知りました。これだ!思いましたね(笑)。
メールマガジンの読者は、はじめから多かったのですか。
2003年9月に活動を始めました。準備や登録審査を経て、1か月後の10月31日に第1号を配信しました。純粋に一教師として、学校の現場からこうしたらいいなという、見た事や考えた事を書いているのですが、あっという間に読者が増えた。みんな、学校からの「生の声」を待っていたのでしょうね。
それだけ「生の声」が新鮮だったということでしょうか。
学校からの生の声ってなかなか伝わらない。教員が生の声を伝える場は、あるようでなかなかないのです。せいぜい学級通信か懇談会だけ。マスコミが生の声を取り上げる事もない。実際、教師が何を考えているのか、親に伝わっていないし、わからない。学校からの便りは、学校としての声。それはそれで重要ですが生の声ではない。余計な事を書くといろいろ問題も出てくるので、生の声が出せなくなる。学校代表の立場では、守りの体勢になるので生の声が出せず、思いが伝わらない。そうなると生の声を出すのは、個人としてしかできないのです。
子どもを成長させるには、親が家庭の様子、教師が学校の様子を包み隠さず伝える事が大切であり、「こうじゃない」、「こうして欲しい」など、お互いに自由に言える環境が必要でしょうね。でも残念ながら、今はそれがありません。学校と親の間に鉄のカーテンを引いていたらいけないのです。教師の生の声が伝わるような環境にしなければいけないと思います。
日頃保護者の方と直接接していて、感じていることはありますか。
今の時代は、大人自身も急激な流れの中にいて、経済的にもテクノロジー的にもどんどん変わる時代の変化についていけない。価値観が揺れている。高度成長時代などは、それぞれに何らかの目標があった。でも、バブルがはじけてからは、大人自身が目指すものがわからなくなった。自分自身も揺れ動き、方向性も見えなくなった。子育てもわからない。価値観も多様化しているというが、多様しているならまだしも、価値観がなくなると揺らいでしまう。この揺らぎが子どもに影響を与えてしまうのですね。「あの家はこうだよ」といわれると大人は弱いですよね。これは、価値観がないゆえに他人の家の意見にまで揺れてしまうということだと思います。そして、いろいろな問題が発生すると、ますますわからなくなってしまうのですね。

不安を抱える親御さんにどんなことを伝えたいと思っていますか。
私は教師として、多くの親たちが子育てについて悩む姿をたくさん見てきました。また、我が子のためを思いつつ、まったく逆効果なことをしている親たちもたくさん見てきました。我が子への愛情も子育てへの熱意もあるのに、その方法が分かっていない親たちがたくさんいます。そんな時は、このメールマガジンを参考にしてください。目からうろこの発見ができるかもしれません。読者層は圧倒的に30代のお母さんです。子育てに自信がないと聞きます。でも、子育てに自信がなくても、その中で精一杯やればいいのではないかと思うのです。理想はみんな持っている。けれど、自分のできる範囲以内でやればいい、実状の中で精一杯やればいいと僕は思うのです。それを認めてあげることによって、親も伸びていくのだと思います。どんな考えでも、ポリシーや目的があればいいと思います。原則原理を押さえていれば、人と違う考えでも、それはそれでいいと思うのです。
親として、また大人として子どもと接するときに大切なポイントは何でしょうか。
例えば、日々考えが変わるとか、ストレス解消のためだけに子どもに何かを言うなどということはしないでください。また、子どもがミスをした場合、そのミスを注意しても人間性を責めることはしないでください。また、目的を伝えると、子どもは子どもなりに理解します。大人は、言わなくてもわかるだろうなと、つい思ってしまいますが、面倒がらずに子どものために話してあげてください。大人のためではなく、子どものためにです。そして、その時は、子どもがわかる言葉に噛み砕いて。
それから、人生観を養うためにぜひ仕事の話をしてください。子どもに親の生き方を伝えることも教育になります。例えば、自動車を販売する仕事だったら、「今日は、こんな大変な思いして車を売ったよ」などと、自分の仕事の話を食卓で話してあげる。意識して話す。これは、金銭教育の第一歩でもないかと思うのです。
学校の現場にいる先生がたには、どんなことを伝えたいですか。
先生方も、ぜひ発信してください。生の声を出していきましょう。ただし、個人の責任において。一歩踏み出してみてください。教え子と親御さんに伝える事も大事だけれども、それだけでは伝えることに限界がある。もっと広い範囲で発信してください。大勢の人が知りたがっていますよ。僕のメールマガジンが16000人にもなったというのは、それだけ需要があるということ。親御さんは、教員の生の声を知りたがっているということでしょう。一人間として、一個人として伝える事によって、教育者の顔が見えてくるのです。学校代表では、意思の疎通はできません。多少の勇気は必要だけれども、壁を突き破って発信してください。その声を、みんな待っていますよ。
そして、教師としての仕事を楽しみましょう。私は、十分楽しんでいます。子どもと触れ合いながら、自分も楽しみながら、自分にできることをしようではありませんか。あまり指導しすぎようとすると、義務感にかられすぎ、きつくなってしまいます。全て自分で解決しようと思わないでください。結果は、自分の腕の中にはないと思っています。現実は、簡単なものではないし、子どもは、なかなか変わらないですしね。結果をあせらない、求めすぎない、この微妙なバランスも大事だと思います。だらしがない子には、ある程度あきらめも必要です。みんな抜けているところもある。けれど、いいところだけ伸ばしてやろう、褒めて、自信をもって前向きに生きていこうと指導してください。
若い先生や学級経営に不安な先生にアドバイスをお願いします。
若い先生は、やる気満々ですが、仲良くなりすぎてしまうのですね。そうなると、なあなあになり、いざ指導しようと思ったときに仲が良くては指導できなくなってしまう。ぜひ、その点をわきまえて、子どもに接してください。先生は先生であって、友達ではないのですから。また、指導の中では、自分が得意な部分で勝負してください。好きな教科で学級経営するくらいの気持ちでね。周りに何を言われようとも、自分も楽しんで力を発揮できるものがないと、子どもも楽しくない。自分の得意を生かして仕事してください。教師にも、自分ががんがんリードするタイプと、子どもを育てて引きあげるタイプなどいろいろあると思います。自分にあったスタイルを見つけ、人の意見に振り回されない自分のスタイルの確立をしてください。現場の情報が変わるたびに、教師も揺れ動きます。自分の個性を生かしてください。信念を貫いてください。自分の得意なところで勝負する。私はそうしています。そのためには、ある程度聞き流してもいいのです。自分の道を行けばいい。親も子も先生もそれぞれの事情の中でがんばればいいのです。
学校教育について、いろいろと議論されていますが、そのことについてどう思われますか。
今、現場を知らない人が、教育現場のことを語っていますが、おかしいと思う事が多々あります。教育現場のことは、子どもと接しているからこそわかることなのです。評論家の言っていることは、はっきりいって紋切り型です。例えば、キレる子に対して、親のしつけがなっていないからというが、しつけではない。実際、現場で子ども達に接している人は、そうは思っていない。しつけ以前の、親子のふれあい、親の愛情不足であり、欲求不満なのです。そういった子は、自分が大切にされてこなかった、良い面を伸ばしてもらえなかったと思っています。その子達は、やってはいけないということは、わかっているのです。でも、愛されてこなかったから、自分を愛せない、または、愛されていても、伝わらなかった。子どもが愛情に満たされていないことに問題があるのに、子ども達と接していない評論家にはわからないのです。なぜかというと、現場の教師が生の声を発信していないから。それを覆すためにも、現場からの声を発信しようではありませんか。
今、教育論議が盛んですが、そういう場に現場の教師が呼ばれることが本当に少ないですね。だから、現場や実際の子供たちの様子がよく分かっていない人たちの意見をもとに、教育論議が進んでいってしまう。それでは、本当に子どもたちにとっていい改革はできないと思います。ぜひ、私たちが声を出していって、教育論議や教育改革に積極的に参加していこうではありませんか。そのためには、メールマガジンはとてもいい方法なので、お勧めです。パソコンの知識はそれほど必要ありません。出すのも読むのも全て無料です。

今後の活動について教えてください。
これからもずっと、メールマガジンを発信していきたいですね。できるだけ具体的に、読み返さずに読めるくらい簡単な言葉で。題材は、次から次へとあるので、書くことは尽きません。発信したものに対しては、常に賛否両論があります。これは仕方がない。千差万別の考えがあるし、気を使って書いてはいるけれど、あくまでも私一個人としての考えですから。でも、自分が知らなかった親の考え方や様々な考えがわかってきて、とても勉強になっています。目下の悩みは、いただいたメールに返信できない事です。ですが、全て目を通しています。当初は、メールマガジン上での意見交換など考えていましたが、時間的にも難しいですね。本業は、現役の教師なので(笑)。最初の趣旨に戻り、発信に徹しようと思っています。親御さんだけでなく先生方にも長く読んでいただけたらと思います。
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