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実践レポート

ネットワーク型授業ワークショップ

〜よのなか科 〜の手法を学ぶ

杉並区立和田中学校長 藤原和博先生


総合 第9回   2006.8
 

 

 

 東京都公立中学校初の「民間企業出身校長」として話題を集め、「よのなか科」としてネットワーク型授業を提唱している杉並区立和田中学校長 藤原和博先生。長年の企業人としての社会との関わりをベースに、独自のカリキュラムで今学校で実際に生徒に実践している授業をワークショップで公開している。東京会場をのぞいてみた。

 

 

 

 3日連続で行われたワークショップは、藤原先生が考案してワークシート化したテキストをもとに、全国から集まった学生から高校の先生までが5,6名のグループに分かれて課題に取り組んだ。取材した2日目は、金融経済と少年法の課題が出て、それぞれ与えられたテーマについて授業の進め方を

話し合い、発表し、そのあと、実際に同じテーマで行われた和田中学校での授業のビデオを見ながらアドバイスを受ける形式で行われた。
 テーマは、商品の付加価値について、経済と法律から見る中学生は大人か、投資と貯蓄の違い、時給と年収など、どれも身近な話題から社会を考えることができる。


 たとえば、「中学生はもう大人?まだ子ども?」という授業では、中学生にかかる費用や教育にかかる税金などを具体的に表示し、実際に自分が生きていくために使われている金額を把握させ、一方法律ではいつから「大人」として扱われるのかを考え、生きていくために必要な知識と収入について自覚をうながす構成になっている。参加した先生からは、経済、法律面のほかに精神面とのバランスを教えることが大切だという意見もあがった。

 

 

 次に、実際の和田中学校での授業をビデオで見てから、藤原先生が「この授業でたいせつなのは、『じゃあ大人って何?』ということを問いかけていくことなんです」とコメント。この問いかけこそが、「よのなか科」の真髄なのだと話した。いま大人になりたいと思う中学生は1割しかいないということを指摘し、それこそが問題であり、「早く大人になりたい、大人っていいね」と思う社会になるよう先生も身近な大人として生き生きとしなければいけないという。

 時給と年収について考える授業では、数直線上に時給の安いアルバイトからプロスポーツ選手、さらに億万長者といわれる職業の年収までをならべ、フリーターを一生続けるということが収入面でどういうことなのか、高額を得るためには専門技術と経験と知識が備わっていなければいけないこと、高額所得者は自分一代で財産を築いている人が多いことなど、現実と併せて就労と学業のたいせつさを教える手法を披露。さらに、ネットワーク型授業の手法として、20のコツをビデオで紹介。子どもたちが積極的に参加するための指導のコツをていねいに教え

ていた。そこには藤原先生ならではのルール「人の考えはカンニングOK」「大きな声でつぶやく」「まちがえていいと伝える」「理由は3ついう」などといったものや、「発表しない子は、書いていることを拾って発表してあげる」「詰まってしまったら、言い換えたり言いたいことを明確にしてあげる」「一言で表す」など子どもたちの気持ちを引き出すための工夫もあり、一つ一つが具体的で速効性が高い手法も盛り込まれている。また、少年法の授業では、最近起きた犯罪や年齢の近い子どもの話などを用いて、子どもの興味をひきつけるような題材を取り上げている。翌日のワークショップ最終日には、参加した先生がこのワークショップをもとに自分の「よのなか科」授業案を作成し発表した。

 

 さらに、現代社会を扱う授業では、専門の知識をもつゲストの存在が重要だという。藤原先生はかつての企業人時代の人脈だけでなく、地元にいる知る人ぞ知る世界的な企業の存在を、自治体の産業振興課に紹介してもらい交渉したという。最近では、弁護士、裁判官といった特殊な職業の分野からも応じてくれるし、なにより学校の授業に、子どもたちのためにと頼めば断る企業はない、という。「インターネットでどんどん検索し、自分で会いに行ったり連絡したりして探すと必ず見つかりますよ。」と藤原先生は言う。

 この「よのなか科」の授業がそのままできるワークシートが教材化された。中学生のワークシートではあるが、簡単なディベートなら小学校高学年で、さらにつっこんだ展開をすれば高校生にも十分やり応えのある授業ができるという。このワークシートは全4冊発行される予定。

 「社員」を育てる教育から、自分で考え情報を編集し自立できる「個人経営」型の人間を育てる教育、それをネットワーク型授業ワークショップ〜よのなか科〜では目指していると藤原先生は言う。 このネットワーク型授業は平成18年度文部科学省委託事業「新教育システム開発プログラム」にも指定されている。

このワークショップはこの夏、東京を皮切りに7回、全国6箇所で行われる。また、和田中学校で行われる少年法の授業が、11月11日NHK教育テレビで放映予定。

 

※ネットワーク型授業ワークショップの詳細

http://www.lab-warp.ne.jp/network/

 

※藤原和博のよのなか科ネット

http://www.yononaka.net/




 

 

 

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